羽畑家は非常に過激だし、とてつもない財力がある。
そして頭領のケイヤは槍術の達人だ。
13歳の頃には中国の四川省の槍術の大会で優勝したこともあるし、実際に戦地では数々の武功を挙げ、500人の兵士を束ねる少将であった。
強大な敵勢力にアノンはとても嫌気がさしていた。
彼女は本当に平穏な暮らしだけが欲しかった。
羽畑家とピートが彼女の精神を強く圧迫し続けていた。
ピートは昼、ずっと押入れに監禁されている。
アノンのその願いのためにピートはずっと監禁されている。
戦っているのは母だけじゃない、自分もずっと戦っていることを誰かに知ってもらいたかった。
しかし、父マサルにも、妹のミェーにもピートの存在は伏せられていたし、彼自身も二人を家族と思うことはなかなかに難しいことだった。
アノンにとってピートを監禁することは最初はとても気が重いことだった。
しかし、長く監禁していると罪悪感なんてものはなくなっていったし、それが日常になっていった、そうやって行くうちにピート自身もこれが当たり前で、父マサルが銀行員として働くように、妹ミェーが毎日学校へ通うのと同じように、当たり前の日常になっていったのは言うまでもない。
ピートはとても大人しい子供だったが、人間と触れ合ったことがある時点で、不思議に思うことや、疑問に思うこと、不満に思うこと、不安に思うことは明確だった。
母アノンももちろんそのことはわかっていたし、また、母がそう思っていることはピートにもわかっていた。
言ってしまえばそこに相互理解があったということではあるが、ある時、ピートの不満がアノンの願望を超えた。
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