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執筆者の写真安倍大智

定点カメラが切り取る「無意味」

こんにちは、BUMP OF CHICKENのCHICKENの方、アベです。

あ、バンプは天体観測か。


天体観測も好きですが、アベは昔から定点観測が好きです。

定点観測というか、定点カメラの視点が好きなんですが、まずは定点観測から。


南守谷駅っていう、関東鉄道常総線の駅をアベが撮影したものです。

茨城です。

18:15くらいに撮っています。季節によって明るさが違う、天気によって空の様子が違う。

こういうのは、「定点観測」でいいんだと思います。



では、「定点カメラの視点が好き」っていうのはなんでしょうか。

それは、とくに長時間でもなく、また特に観測する対象でもない時に、そういった表現がしたくなります。

これは、

→コンクリートポエトリーにおける新国誠一の詩には、言葉を使いつつも言葉の意味を使わないような、言葉を使うに当たって、意味が最重要項目ではない、意味があるような無いような、無いことに意味があるような、そんな風情がある。

とか、

→意味があるものを集めていたアベは、いつしか意味の無いものの方がプレシャスだということに気づく。

また、

→何か言っているようで何も言っていない。いかに何も言わないで何かを言うか。という戦い。


といった、これまでのアベのブログにも関わってきます。

無意味のお話です。


定点カメラの視点の例

私のインスタの投稿ですね。

これは新潟県双葉町の海で撮影したものです。

15秒程度、定点で撮影しています。

この作品のポイントは、桟橋を歩いている人と、手前で揺れている松の葉。そして、海の波です。

「カメラは動かずに、視野の中の何かが少し動いている状態」が美しいと思います。

この美しさに気づいている作家は何人かいますので、ご紹介します。


私が衝撃を受けた写真作家・松江泰治さん

これは木場の川沿いの建物をずっと眺めていけるという作品みたいです。

映像作品はこれしかネット上には見つかりませんでした。

私が衝撃を受けたのは採石場の遠景を定点で撮影した映像作品でした。ものすごくでっかいダンプカーがものすごくちっちゃく写っていて、採石場の風景はものすごくダイナミックだけど静止していて、その中をダンプがすごいスピードでゆっくりゆっくり動いていくというもの。

松江さんは東京大学理学部地理学科卒業ということで、地形や地理が訴えかけてくる美をものすごく上手に引き出して切り取る人だなあと思います。


続いて、みんな大好き園子温監督。

この映画、私が見た園子温監督の作品の中ではダントツで価値のある作品だと思います。

「The Room」っていう、アラーキーこと荒木経惟を持ってして「沈黙という名のエロス」と言わしめた超絶長回しウィスパー映画となっております。

私は大学の図書館で発見して観ましたが、もうそう易々とは観られないぞ、と思っていたら、なんとYouTubeに上がっていました。不本意ですが,,,このシーンだけ、観てみてください。

マジ傑作なので、本編もぜひみてください。


このシーンでは、麿赤兒ふんする殺し屋が部屋探しのために不動産屋のおねいさんと電車に乗るんですけど、2駅分...ずっと定点でその二人と外の風景とを映しています。その間、4分弱、セリフなし、動作を伴う演技なし。何もなし。

私は、このシーンで一回寝て、起きたらまだこのシーンでした。


「定点カメラの視点」ってこういうことです。

定点観測とは言いたくないの、わかりますでしょうか。


それでは、また来週。


暑いですから、お体にお気をつけてお過ごしください。


新中野製作所

安倍大智












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